能登半島地震で想う「防災・減災」の差
No.15 2024年1月
倉持健夫
未曽有宇の元旦となった。被害によりお亡くなりになられた方々へお悔みを申し上げます。
首都直下型地震、南海トラフ地震など未来に対する危機感がある地域では「災害に強いまちづくり」への意識もあり、近年の地震災害地である東日本大震災や熊本地震の地域も、その経験を活かしたまちづくりを既に体験している。耐震補強、耐震化助成金もある(住民への周知が行き完全に届いているかは別として)。
私はこの地震災害を見て、首都と地方の大きな差を色々な部分で感じた。
防災・減災という観点だけではない。
例えば、地震後のSNSやYouTubeニュース類で「インターネットで情報アクセスすることもできます・・・」「アイフォンのボタン長押しでアラーム類が鳴る・・・助けを求めることが出来る」といった雰囲気の啓蒙を見かけたりした。高齢化の進む能登半島において、高齢者や子どもを含めて全員がスマートフォンを片手に持っているとは思えないし、被災時でなく平常時であっても容易な事ではないと感じた。
また、大きく地盤が盛り上がった為、住宅の基礎と上物が何十センチもズレたという番組映像も見かけた。録画はしていなかったが、パッと映ったのは、基礎と土台が緊結されていない建物にも見えた。広範囲に起きた火災に関しては、鉄筋コンクリート造の骨組みのみ残った建物が時折画面に映った。耐火・延焼といった法規用語と現実に起きる火災についても、今後、注視したい。
未曽有宇の地殻変動を見て、誰もが無力さも感じた年始となったが、それでもまだ防災・減災の行き届かない建物、並びにシステムが沢山あるのでは無いかと思う。高齢化率の高い地方は能登半島だけではない。これは日本の都市部以外には全て当てはまる事である。同時に、地域のみに任せた防災・減災は、その地域に依存しており、限界があるようにも感じた。
いつどこで起きるか分からない災害に全国民が盤石に備える事は難しいことかもしれないが、建築士として一層の情報入手、発信、危機管理を持っていたいと思う。
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